2022年の住宅購入支援策 ②住宅資金贈与の非課税制度

2022年度も親や祖父母など直系尊属から住宅資金の贈与を受けた場合の非課税制度が延長になります。

2022年住宅資金贈与非課税のポイント

・贈与期間は2022年1月より2023年12月まで

・引渡し、入居期限は2024年3月15日まで

・非課税贈与額は「省エネ・耐震・バリアフリー住宅」で1000万円

「上記以外の一般住宅」で500万円

大きな変更点は、建築請負契約や売買契約の時期にかかわらず、贈与時期と入居期限のみとなること。

消費税率による非課税額の違いがなくなり、新築住宅も中古住宅も一律一定の高性能住宅で1,000万円、一般住宅で500万円となることです。

2021年までは売主が個人の中古住宅は消費税がかからないため、不動産会社等事業者が売主の場合と非課税枠が異なっていました。

わかりにくいので一律としましたが、非課税枠は原則減額となります。

とはいえ、最大1,000万円が非課税で次の世代に贈与でき、相続税対策だけでなく、シニア世代のお金を住宅購入や教育費がかかる若い世代に生きている間に資産移転できる有益な制度です。

 

自分が生きている間に自分の大切なお金を子ども達のために使ってあげたいと思う人は、ぜひこの制度を検討してください。

 

非課税となる贈与の要件は?

非課税の制度を使うには、一定の要件があります。

下表にまとめましたのでご覧ください。

実際の利用の可否については税理士や税務署にご確認ください。

 

 

2021年からの変更点

・成人年齢が18歳になるのに伴い、2022年4月以降に制度を利用する場合の贈与を受ける人の年齢が、その年の1月1日時点で20歳から18歳へ引き下げられます。

・中古住宅の建築年数の要件がなくなります。
築年数にかかわらず、新耐震基準を満たした中古住宅で適用できます。

東日本レインズの調査結果によれば、2020年の首都圏の中古マンションの成約した物件の平均築年数は21.99年、中古戸建てでは21.62年といずれも20年超でした。

また、売却するためにレインズに登録している物件の築年数の平均は、中古マンションで26.83年、中古戸建てで23.43年で、3年連続で成約物件の築年数との差が開いています。

築年数が古い物件の売却の登録が増えていることから、築年数ではなく住宅の耐震性能に基準を移した形です。

現在でも新耐震基準に適合する昭和56年6月1日以降に建築確認をとっている建物でないと、住宅ローンの審査は厳しくなります。

新耐震基準を満たすことは、贈与が非課税となるだけでなく、減税や支援制度全般の基準の目安として意識して家探しをするのが安心でしょう。

住宅ローン減税と併用する場合の注意点

今は住宅の購入価格プラス一定の諸費用分まで住宅ローンで借りられる時代です。

しかし、たとえば5,000万円の認定住宅を購入して5,000万円のローンを組み、1,000万円の贈与を親から受けたら、住宅ローン減税を全額受けながら、1,000万円の贈与も非課税で受けられるのでしょうか?

残念ながら、さすがにこのような都合のいい話はありません。

なぜならば、住宅ローン減税の上限額は以下①②のどちらか低い方の額となります。

①「住宅借入金等の金額の合計額」(ざっくりいえば住宅ローンの借入額)

②「住宅の取得等に係る対価の額」(ざっくりといえば住宅の価格)

②の住宅の購入額に当たる部分が5,000万円でも、親からの贈与を1,000万円受けていれば「住宅の取得等に係る対価の額」は5,000万円から1,000万円を差し引いた4,000万円となります。

そのため、住宅ローン減税は4,000万円に対す0.7%の28万円が上限となります。

詳しくは国税庁の→住宅取得等資金の贈与と住宅借入金等特別控除との関係をご覧ください。

住宅ローンも物件価格ぎりぎりまで借りて全額ローン減税を受け、親からの住宅資金贈与も1,000万円非課税で、というのは現実的にはできない制度となっていますので注意してください。

 

暦年贈与との併用は可能だが・・・

住宅資金贈与の非課税は年間110万円までだれでも非課税で贈与が受けられる暦年課税の非課税と併用できます。

そのため、実際には住宅の性能により1,110万円と610万円の贈与を非課税で受けられます。

 

実は、暦年課税は1人の受贈者(贈与を受ける人)につき毎年110万円ずつ非課税で贈与を受けられるので、この制度を使うなどして(他のどんな制度でもいいから)前述の例で言えば、5,000万円に対するローン減税と1,000万円の贈与の非課税どちらも利用できる方法はないか、というご相談がまれにあります。しかし、この場合のローン減税の上限は認定住宅でも4,000万円となることを覚えておきましょう。

暦年贈与は贈与資金の用途を限らず、毎年の非課税枠の積み重ねで次の世代に少しずつ資産を移転する(資金の有効利用)ための制度です。

しかも、令和4年度の税制改正大綱で、今後暦年課税を見直す方向であることが明言されています。

具体的な中身はまだ出てきていませんが、近い将来暦年贈与がなくなる可能性もあります。

 

ご相談を受けていて思うのは、すべての減税制度を利用してとにかくお得に住宅を購入することばかりにとらわれると、実は一番大切なライフプランを見落としてしまう場合があることです。

節税、減税も大切な要素かも知れませんが、制度に合わせて住宅を購入すると、購入時期をまちがうかも知れません。また、あわてて希望に合わない家を買ってしまうかも知れません。

住宅購入で一番大切なのはライフプランと資金計画です。

損得の前に、必ず自分が返していける住宅ローンの返済額から、自分が購入できる家の値段を考えてみましょう。

 

家を買おうと思ったら、ぜひ→初めての住宅購入 のページをご覧ください。

 

 

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