児童手当 高校生まで月1万円で4月生まれと3月生まれの総額は?

「高校生に月1万円、第3子以降0歳から高校生まで月3万円」という児童手当の方針が2023年6月の「こども未来戦略方針」で閣議決定されました。

実際の受取額が気になるところですので、4月生まれと3月生まれで試算してみました。暦年ではなく学年(年度)で支給される児童手当は人生に影響を与えるほど大きな違いはありません。でも、生まれ月で違いが出るのはちょっと気になりますよね。

それよりも影響が大きいのは、第3子のカウントの仕方でしょうか?自分の家の場合総額でいくらもらえるのかなあ?と気になる方はお読みください。

2023年6月時点児童手当改正点

●所得制限撤廃
●多子世帯の給付額増額→第3子※以降0歳から高校生まで月3万円
●支給期間高校卒業まで延長→高校生に月1万円
※ 「第3子以降」とは、高校卒業まで(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の養育しているお子さんのうち、3番目以降をいいます。

現在の制度

●支給期間:こどもが中学を卒業するまで
●給付額  3歳未満:15,000円/月
3歳以上:10,000円/月(第3子以降は15,000円/月)
●所得制限:子供2人と配偶者を扶養している場合
・年収の目安960万円以上 一律5,000円/月
・年収の目安1200万円以上 児童手当なし

4月生まれと3月生まれ児童手当総額比較

児童手当は子どもが中学を卒業するまで受給できます。
そのため、4月生まれと3月生まれでは11か月分の差が生じます。
また、児童手当の受給は手続きした次の月からになります。

所得制限がない場合で第1子分の受給額を試算してみましょう。

現行制度

4月生まれの子の受給額:208.5万円

3歳未満 1.5万円×35か月  52.5万円
3歳以上中学卒業まで 1万円×156か月 156万円

3月生まれの子の受給額:197.5万円

3歳未満 1.5万円×35か月  52.5万円
3歳以上中学卒業まで 1万円×145か月 145万円

高校生まで月1万円受給額が増えた場合

4月生まれの子の受給額:244.5万円

3月生まれの子の受給額:233.5万円

第3子は高校生までの子供の数でカウント

児童手当における「子ども」の定義は高校生までの子を指します。

例えば第1子中学1年生、第2子小学校5年生、第3子3歳の場合、3歳の末っ子が第3子となる期間は中学1年生の第1子が高校を卒業するまでです。

とすると現在3歳の第3子が、児童手当の制度上の第3子でいられるのは第1子が高校を卒業するまでの6年間です。

以下が閣議決定された「こども未来戦略方針」の文言です。
これだけ読むと、第3子は0歳から高校生までずっと月3万円の児童手当を受け取れると勘違いしがちです。

(1)児童手当の拡充 ~全てのこどもの育ちを支える制度へ~
○ 児童手当については、次代を担う全てのこどもの育ちを支える基礎的な経済支援としての位置付けを明確化する。このため、所得制限を撤廃し、全員を本則給付3 とするとともに、支給期間について高校生年代4 まで延長する 。5
児童手当の多子加算については、こども3人以上の世帯数の割合が特に減少していることや、こども3人以上の世帯はより経済的支援の必要性が高いと考えられること等を踏まえ、第3子以降3万円とする。
これらについて、実施主体である地方自治体の事務負担も踏まえつつ、2024 年度中に実施できるよう検討する。

3 現在は、主たる生計者の年収 960 万円以上、年収 1,200 万円未満の場合、月額 5,000 円の支給となり、年収1,200 万円以上の場合、支給対象外となっている(※)。これらを改め、主たる生計者の年収 960 万円以上の場合についても、第1子・第2子について、0歳から3歳未満については月額 15,000 円とし、3歳から高校生については月額 10,000 円とする。また、第3子以降について、0歳から高校生まで全て月額3万円とする。(※)こども 2 人と年収 103 万円以下の配偶者の場合。
4 18 歳に達する日以後の最初の3月 31 日までの間にある者。
5  その際、中学生までの取扱いとのバランス等を踏まえ、高校生の扶養控除との関係をどう考えるか整理する。

こども未来戦略方針

しかし、内閣府の「児童手当Q&A」のページには以下の文言が入っています。戸籍上の第3子だから0歳から高校卒業まで児童手当は月3万円と思い込んでいると、教育費や家計費の計画が大きく狂ってしまう可能性もありますので、自分の場合はいつまで3万円なのかをざっくりとイメージしておきましょう。

※ 「第3子以降」とは、高校卒業まで(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の養育しているお子さんのうち、3番目以降をいいます。

内閣府:児童手当Q&A Q1内

児童手当は子どもが好きな進路を選ぶための資金に

生まれ月による最大受給額と最小受給額の差はいずれにせよ、児童手当の拡充は非常にありがたいものです。

しかし、令和3年度の子どもの学習費調査によれば、幼稚園から高校卒業まですべて公立学校でも1人の子どもに月約540万円の学習費(おけいこや塾代等も含む)がかかります。すべて私立に通えばなんと約1830万円の学習費です!私立学校に通い始めた途端に1人の子供に付きざっくり100万円くらいはかかるなあ、と予想しておかなくてはなりません。

高校の学費については、所得制限はありますが自治体による公立高校や私立高校の授業料無償化の制度や就学支援金の制度もあるので、事前に調べておきましょう。

大学進学には学費だけで国公立で4年間で約240~250万円、私立文系でも400万円程度かかります。日本学生支援機構をはじめとする奨学金制度もありますが、現在のところ給付型の奨学金を利用できるのは住民税非課税世帯などの低所得者や、大学独自の奨学金制度の試験等に合格した一部の人です。(2024年から3人以上の多子世帯や理工農系への進学者は年収600万円世帯まで等修学支援拡充予定)

受験費用や入学金には間に合いません。子どもが自分の好きな道を選べるように、児童手当は大学や専門学校などの入学金や学費のためにできる限り積み立てておきましょう。

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