SBI銀行短期プライムレートを0.1%上げで変動金利への影響は?

住信SBIネット銀行が5月1日から短期プライムレートを0.1%上げ、1.675%から1.775%にすると発表しました。

3月19日に日銀がマイナス金利政策を解除すると発表してから、短期プライムレートの上昇がわかったのは初めてです。

気になるのは、短期プライムレートが上昇すると、住宅ローンの基準金利も上昇して、結果的に今借りている金利も上昇するのではないかということ。

短期プライムレートと住宅ローンの関係、そして、住宅ローン金利が上昇した時の対策についてここで少し解説しておきたいと思います。

短期プライムレート住宅ローンの関係は?

「短期プライムレート」とは、各銀行が最優良の企業に融資するときの「最優遇貸出金利」のことです。住宅ローンの基準となる優遇前の金利は、一部銀行を除いて、各銀行が決定する「短期プライムレート」に連動して決まります。

たとえば、大手銀行の短期プライムレートは、長い間1.475%のままです。短期プライムレートに1%上乗せした2.475%が変動金利の基準となる金利、そこから審査の結果2.1%の優遇が受けられれば、(2.475%-2.1%)の0.375%で借りられる、というのが現在の一般的な住宅ローンの決まり方です。

短期プライムレートは、各銀行がお金を貸すためのお金を仕入れるときの金利で決まります。この時の金利の1つが「無担保コールレートオーバーナイト物」で、日銀のマイナス金利政策下では長年−0.1%に抑えられていました。仕入れの金利が-0.1%なのですから、ほとんどコストがかからず、結果として住宅ローンも低金利が続いてきたわけですね。

ところが、物価上昇の目標2%と2024年度の賃金上昇見込み(実質賃金はまだマイナスです)から、3月19日に日銀は「マイナス金利政策」を解除しました。とはいえ急激な金利上昇は望まず、金融緩和は続けていくと発表されています。

しかし、マイナス金利政策の解除を受けて無担保コールレートオーバーナイト物は現在マイナス金利から0.07%台まで上昇しています。まだまだ低い金利水準ですが、調達金利が上がれば銀行も貸出金利を上げざるを得ません。4月の各銀行の住宅ローン変動金利は、短期プライムレート連動タイプでは上昇した銀行はありませんでした。

しかし、4月17日にSBIネット銀行がはじめて短期プライムレートを上げることを発表しました。SBIネット銀行の短期プライムレートは1.675%でしたが、5月1日以降は1.775%となります。

この上昇を受けて、住宅ローン金利は0.1%程度上昇する可能性があります。

しかし、すでに変動金利で借りている人の金利は2025年1月以降影響を受けます。

なぜなら、SBIネット銀行の住宅ローン変動金利の金利見直しは半年に1回だからです。通常各銀行は4月1日と10月1日に金利の見直しをします。ですので、10月1日までに金利の引き下げがなければ10月1日の金利見直しで基準金利を上げる可能性がありますが、実際の返済額が変わるのは2025年1月分からとなります。

実際の借入額への影響は

金利が0.1%上昇すると返済額はいくら上がるのでしょうか。

・借入額:3000万円 返済期間:35年 でこれから借りる場合

 ①金利:0.325%の場合
  毎月返済額:75,577円 総返済額:31,749,913円

 ②金利:0.425%の場合
  毎月返済額:76,885円 総返済額:32,301,413円

 0.1%の金利上昇で毎月1,308円返済額がアップします。ランチ1回分の金額に思えますが、総返済額では約55万円のアップとなります。

では、今後最終的に金利が3%まで上昇したとして返済額の動きを見てみましょう

・借入額:3000万円 返済期間:35年でこれから借りる場合

①金利の上昇:2年目に0.5%に上昇、7年目以降10年ごとに1%上昇)
 当初1年間  0.325%
 2~6年目   0.5%
 7~16年目  1%
 17~26年目  2%
 27~35年目  3%

②返済額の上昇
 当初5年間  7万5577円
 6~10年目  7万8134円
 11~20年目  8万4849円
 21~30年目  9万5505円
 31~35年目  10万3663円

「5年ルール」がある変動金利では、金利は2年目に上昇しても5年間は返済額が変わりません。しかし、金利が上昇すればその時点から利息の返済額は増え、その分元金の減り方は少なくなります。元金の返済はどんどん後ろ倒しになり、後半の返済額に上乗せされていきます。

金利上昇に備えるには?

では、金利上昇に備えるにはどうすればよいのでしょう?

①固定金利で借りる
 条件によっては最後まで返済額が上がることなく家計管理がしやすい全期間固定金利で借りるという考え方もあるでしょう。しかし、現在の全期間固定金利は、最安金利でも1.4%台、フラット35では頭金を1割入れても1.8%台です。

3000万円を35年返済で借りた場合

1.45%では毎月返済額9万1122円、1.82%では9万6630円です。フラット35では月々の返済額が約2万円も違ってしまいます。

また、当初の元金と利息を比べると、変動金利が約8,000円に対し、全期間固定では約4.5万円と1カ月で3.7万円もの利息の違いとなります。低金利下では元金を多く返せるメリットもあります。

変動金利(0.325%):7万5577円のうち 元金返済額6万7471円 利息8,106円

全期間固定(1.82%):9万6630円のうち 元金5万1130円 利息4万5500円

②金利が上昇したら固定金利に借り換える

金利上昇への対応として、よく固定金利への借り換えやもっと金利が低い銀行への借り換えなどがあげられます。

しかし、固定金利は変動金利に先んじて金利が上昇します。

実際に10年国債の利回りが基準となる固定金利は、もう1年以上前から金利が上昇し、マイナス金利解除前に最高1.96%台まで(フラット35頭金1割以上)上昇したこともあります。

変動金利が上がってしまった時は、すでに固定金利は借り換えの対象とはならないでしょう。

③金利が上昇しても返済に困らない家計にしておく

金利が上がる前の今、一番やっておかなくてはならないのが、金利上昇に負けない家計づくりでしょう。

前述のように、3000万円の住宅ローンでも、最終的に金利が3%まで上昇すれば毎月の返済額は10万円を超えます。たとえ、今、7.5万円の返済額であっても、10万円は返済しているものとして生活をすることで、金利が上昇しても慌てないで生活を送ることができるでしょう。

特に、今お子さんが小さい家庭では、10年後、15年後は教育費がピークに差し掛かります。その時教育費をねん出しながら金利上昇にも対応できる家計にしておくのは大変です。

その時急にはできません。借り始めの時から返済額10万円(借入額3000万円ならですが・・・)の設定をしておきましょう。

④繰り上げ返済のタイミングを考えておく

金利上昇の対応として、繰り上げ返済もよく上げられますね。

もちろん、計画的な繰上返済は大切です。しかし、安易な繰り上げ返済を行うことで教育費が足りない!、老後資金のキャッシュアウトが早まってしまう!ということでは本末転倒です。

その時の最優先のお金を残したうえで余裕資金があれば繰り上げ返済を行いましょう。

繰上返済には期間短縮型と毎月の返済額を減らすタイプがあります。期間を短縮する方が利息の軽減効果は大きいのですが、毎月の返済額は変わりません。毎月返済が厳しければ返済額軽減型も検討しなくてはなりません。

事前にいくら返済額が減るのか、利息の軽減効果はいくらなのかをシミュレーションで確認してから実行するようにしましょう。

以上、金利上昇の仕組みとその対応策について長々と書きました。

最後までお読みくださった皆さん、ありがとうございました!

でも、具体的に自分はどのような対策を建てたらいいのかわからない、金利上昇を見越した予算の立て方がわからない、という方は、ぜひ個別相談をご検討くださいね。

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