住宅ローンの完済年齢の平均が73歳に!老後安心な完済年齢は?

2020年に住宅ローンを借りている人が、計画している完済年齢が73歳※となったそうです。これは2015年からの5年間で5歳上昇しており、老後の生活にも大きく影響を及ぼしそうです。

一体なぜ完済計画がが後ろ倒しになり、本当は何歳までに住宅ローンを完済すれば安心なのでしょう。

その原因と安心な完済時年齢について考えてみたいと思います。

※日経新聞が住宅金融支援機構のデータから調べたもの

完済年齢が遅くなる原因は?

①借入時の年齢が上昇

住宅ローンの完済年齢も上昇していますが、実は借入時の年齢も上昇しています。2000年代前半では37~38歳だったものが、2020年には40歳となっています。結婚する年齢や子供が生まれる年齢が高齢化していることも原因の一つでしょう。

②借入金額の上昇

住宅ローンの借入額も年々高額になっています。借入額の平均は2003年の1900万円から3100万円に1200万円も上昇しています。低金利で金利負担が小さくなっていることが大きな要因でしょう。

たとえば、3000万円を35年返済で借りたときの金利による毎月の返済額の違いは以下の通りです

現在の変動金利に近い0.5%では毎月の返済額は約7.9万円ですが、金利1.5%では約9.2万円、3%では約11.5万円です。
0.5%と3%では3.6万円も違います。1年間では43.2万円、35年間ではなんと1,512万円の差です。
働いている間は無理のない返済額なので、ついたくさん借りたくなる気持ちもわかりますね。

③頭金がなくても住宅ローンを借りて家を買える

一昔前は、住宅購入時には2割の頭金が必要でした。物件の評価額の80%までしか住宅ローンが組めなかったからです。
しかし、現在は、銀行間の競争や金利低下による返済負担の軽減などから頭金ゼロでも住宅ローンを借りられるのが普通になりました。
頭金がないどころか、仲介手数料や登記、住宅ローンの諸費用など、本来手元の現金で支払うべき費用も上乗せして住宅ローンを借りられます。

金利が高い諸費用ローンを借りなくても上乗せして借りられることも、借入が高額になる一因かもしれません。

④住宅ローン減税による節税メリットを得るためにできるだけ借りてしまう

住宅ローンの年末残高の1%が払った税金から戻ってくる住宅ローン減税も借入が高額になる原因の一つかもしれません。

変動金利で金利1%未満で借りていれば、その金利差分は資産運用をしているのと同じ効果があります。そのため、手元の現金を使ってしまうよりはローンを借りたほうがお得、と思う人も多いのも否めません。

借入当初は、ローン減税が修了する10年(または13年後)に繰り上げ返済をすればいいや、と思って安易に高額なローンを借りてしまい、結果的に返済と教育費に追われて繰り上げ返済が計画通りにできず、老後に残ってしまった、という笑えない相談もあります。

以上のように完済時年齢が延びる要因は様々ですが、実際に老後破綻しないようにするためには、何歳で完済する計画を立てればよいのでしょう。

定年退職時の残高を確認する

住宅ローンの完済年齢は個々のライフプランにより異なりますが、目安としては収入が大きく変化する定年時の残高を確認しておくとよいでしょう。

たとえば40歳の時に35年返済で3,000万円の住宅ローンを全期間固定金利1.5%で借りた場合、60歳時点の残高は1,480万円ほどです。

もし、マンションに暮らしていて管理費や修繕積立金で3万円、そのほか固定資産税や火災保険料を月で割って1.5万円とすると住居費は全部で13.5万円となると、住居費を除いた生活費は11.5万円となってしまいます。

年金生活になってからは定年まで働いた会社員でも公的年金の額は200万円ほどが普通です。夫婦合わせても300万円程度とすると、完済するまでずっとこの家計が続くことになります。

借入時に退職金と年金のおよその額を確認する

60歳時点の残高がいくらなら老後の生活に負担がないのかは、人それぞれです。

たとえば、1,500万円ほど住宅ローンが残っていても、退職金が3,000万円であれば住宅ローンを完済した上に1,500万円が残ります。

また、60歳以降も現役時代と同じ高収入で働き続けることができれば、60歳時点の残高にこだわる必要はありません。

しかし、実は住宅ローン相談に見える人は、ヒアリング時に自分の退職金の額や年金の額についてわかっている人はほぼいません。

住宅購入時には、退職金のあるなしやもらえる金額や、老後の収入の柱である公的年金を現時点でいくらくらいもらえるのかを知らずに、35年も返済するーンの借入額を決めることはできません。

住宅購入時に必ず会社の退職金制度と、年金額を調べておきましょう。

会社の退職金は、今は会社のイントラで「退職金規程」がWEBで見られる会社も多くなっています。

自分が将来受け取る公的年金の額は、毎年誕生月に送られてくるねんきん定期便や、もっと詳しい内容は「ねんきんネット」(日本年金機構)で調べることができます。住宅購入時には必ず確認しておきましょう。

完済年齢がいつなら大丈夫?

無責任なようですが、たくさんの住宅購入の予算診断を行っていると、老後安心な完済年齢は本当に人それぞれです。

高収入だから完済年齢が73歳でも大丈夫、と言うわけではありません。

むしろ、高収入(年収1,000万円以上の人でも!)の人ほど現役時代の家計が膨らみ、年金生活になったときとの収入のギャップが大きいために、住宅ローンが残っていると70代でキャッシュアウトしてしまう、という家計も珍しくありません。

逆に世帯収入が多くなくても、堅実に人生を楽しみ、定年時に住宅ローンを完済して、老後も安心な住宅ローンの返済計画をしっかりと立てられる家計もあります。

現在は晩婚・晩産化が進み、40歳前後で結婚、出産、住宅購入という人生の一大イベントがまとまってやってくる人も多くあります。こうした人は要注意です。現在は共働きで世帯収入が高くても、他の人が30歳から30年掛けて行うライフイベントを20年間でやっていくことになります。それだけ短期間に教育費や住宅費といった大きなお金がまとまってかかることになります。老後資金の貯め時に教育費に追われてしまうと、住宅ローンの繰り上げ返済どころか定年時に預貯金が全くできていなかった、ということにもなりかねません。

住宅購入のように大きなお買い物をするときは、購入時にまず現状の預貯金の残高や家計の収支を確認し、今後の収入の動きや支出の動きを想定し将来の貯蓄残高の動きを見える化して、今だけではなく、老後も安心な資金計画を立てましょう。

そのためには将来のお金の動きを見える化するキャッシュフロー表を作成することが有効です。

CF表のグラフイメージです。黄色の面が将来の貯蓄残高の動きです。こんなCF表だといいですね!

今は、自分でシミュレーションできるWEBサイトもありますので、ぜひ自分に合ったプランを探してみてください。

自分でやってみたけれど、数字の置き方が不安だ、予算が正しいかどうかわからない、と言う人は、ぜひ予算診断に来てください。

人生で最も大きなお金をまちがわないように、お一人お一人の話をよく聞き、適正な予算をご提案します。

もし、家計に問題点があれば、家計の問題点を整理し、家計管理の方法や保険料など固定費の見直しまでお付き合いすることも可能です。

FP相談をしてみたい、と言う人は→こちらをご覧ください。

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