二世帯住宅のメリットと注意点

消費税の増税や社会保障費の負担が増える中、家計の負担増も気になるところです。来年から相続税の基礎控除が6割になることもあり、家計と相続両面から注目されているのが二世帯住宅です。
生活面でも子育てや介護にも優しい二世帯住宅は、家計やライフプランの中でどのようなメリットがあるのか、まとめてみました。

二世帯住宅のメリット

子育て世代のメリット
・低コストで高性能の住宅を手に入れることができる→住宅ローンの負担が軽い
・保育園の送り迎えなど親から子育て支援を受けやすい→共働きしやすい
・両親が高齢になった時→見守り・介護がしやすい

親世代のメリット
・古く広い家の維持管理が大変→子世帯と分担できる
・子世帯にローンを組んでもらうことで建て替えしやすい
・高齢者を狙った詐欺などから親を守りやすい
・病気や介護への不安→同居の安心感

親世帯・子世帯共通のメリット
・光熱費等生活費の節約ができる
・建物・設備の維持費、リフォーム代が1軒分で済む
・固定資産税の負担を分けることができる
・小規模宅地の評価減を使うことができれば、相続時の土地の評価が2割になる

親子二世代が協力し合うことで、安心で家計にやさしい生活ができそうです。具体的には、いくらくらいの家計面でのメリットが出るでしょうか?

家計面での具体的メリット

住宅ローンの軽減効果(建物のみのローンで住宅購入できるメリット)
5000万円のローンを組んで一戸建てを購入した場合
⇒総返済額:約7625万円
3000万円のローンを組んで二世帯住宅を建築した場合
⇒総返済額:約4579万円
約3046万円の軽減効果
(全期間2.5%、35年返済のローンを組んだ場合(諸費用を含む))

ママが働く効果
(親世帯に子育て支援をしてもらい30歳から60歳まで働く効果)
パートで30年働いた場合 年間100万円×30年=3000万円
正社員で働き続けた場合  年間300万円×30年間+年間69万円×220年間
=1億380万円
(年間69万円は30年間働いたことによる厚生年金の受給額)
*厚生年金は平均月収25万円で30年働き65歳から20年間受け取ったと仮定。老齢基礎年金、30歳迄働いた分の厚生年金分は勘案しない。

同居による家計費の節約効果
(光熱費・住宅維持費など2万円/月の節約効果があったと仮定)
月2万円×12か月×20年間=480万円

リフォーム代の節約
20年間で300万円のリフォーム代がかかるとすると、
2軒分→1軒分で300万円の節約

働き方や、建物の条件にもよりますが、二世帯で暮らす経済的なメリットは非常に大きいことがわかります。これ以外にも、条件が当てはまれば、相続時の自宅の土地の評価が8割減になる小規模宅地の評価減、という減税の制度が使える場合があります。都市部に自宅を持っている方、金融資産、不動産を多く持っている方にとっては大きなメリットになります。

二世帯住宅の2つの注意点

しかし、二世帯住宅はメリットだけでなく、注意点もあります。一つは、資金を出した額に応じてきちんと持ち分を入れることです。土地は親のものであっても、建物の半分の資金を親が現金で出し、残り半分を子がローンを組めば、持ち分を2分の1ずつにしないと贈与税がかかってしまいます。

また、将来の相続を考えた場合、最も注意をしなくてはいけないのは別居の兄弟への配慮です。

もし、兄弟が二人の場合、相続時に5000万円の土地と親の持ち分が2千万円の評価である建物があれば、相続における別居の兄弟の権利は、土地2500万円と建物1000万円で3500万円です。もし、法定相続分通りに別居の兄弟から財産分与を要求されたら、せっかく建てた家を売って、現金を渡すことにもなりかねません。

若い世代から見ると、親が元気な時は二世帯住宅は経済的メリットがいっぱいに見えます。しかし二世帯住宅は、親が高齢になった時の介護やお墓を守る責任、別居の兄弟から財産分与を要求されればそれにこたえる責任が生じます。

目先の経済的メリットや、生活上の利便性だけに目を奪われることなく二世帯住宅を建てる前に、必ず別居の兄弟を含めて、不公平がないように話し合っておきましょう。

よかったらシェアをお願いします
  • URLをコピーしました!
目次